【イシス】エジプト神話の愛と魔術を司る女神、永遠の愛の象徴

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イシスとは?

イシスは、古代エジプト神話において愛と魔術を司る女神として広く崇拝された存在です。夫オシリスへの変わらぬ愛と、息子ホルスを守り抜く母性、そして強大な魔術の力を持つ彼女は、困難に立ち向かう強さと家族を守り抜く意志の象徴として、古代から現代まで多くの人々に愛され続けています。

プロフィール

名前: イシス(Isis)、古代名アセト(Aset)

神話圏: エジプト神話

属性: 愛、魔術、母性、豊穣、治癒、復活

シンボル: 玉座の王冠、アンク十字、トンビ(鳶)の翼、ハスの花

関連する神話・登場作品: オシリス神話、死者の書、現代のファンタジー作品

イシスの神話と役割

誕生と家族

古代名「アセト」で呼ばれたイシスは、「王座」を意味する名前を持ち、まさに王権を守る女神として崇拝されました。大地の神ゲブと天空の女神ヌトの間に生まれた四柱の神々のうちの一柱で、兄オシリスの妻となり、弟セト、妹ネフティスと共に成長しました。イシスとオシリスの結婚は、エジプトに平和と繁栄をもたらしました。

オシリスの死と復活

しかし、悲劇が彼らを襲います。弟セトの嫉妬により、オシリスは美しい棺の罠にかけられ、ナイル川に投げ込まれて命を奪われてしまいます。さらにセトはオシリスの遺体を14の断片に切り刻み、エジプト全土にばらまいてしまいました。

ここからイシスの真の力が発揮されます。妹ネフティスと共にエジプト中を旅し、愛する夫の遺体を丁寧に集めて回ったのです。そして、強力な魔術の力を使ってオシリスを復活させることに成功しました。ただし、完全な復活は叶わず、オシリスは冥界の王となります。しかし、イシスは復活したオシリスとの間に息子ホルスを身ごもることができました。

ホルスの保護と王権の回復

イシスはホルスを隠れて育て上げ、成長した息子と共にセトに立ち向かいました。長い戦いと審判の末、ホルスが正当な王として認められ、王権は取り戻されました。この物語は、母の愛と保護の力、そして正義が最終的に勝利することを象徴しています。

イシスにまつわる豆知識・トリビア

ラーの真の名を得た女神

イシスには興味深い逸話があります。太陽神ラーを毒蛇で苦しめ、その解毒と引き換えにラーの「真の名」を聞き出したことがあります。古代エジプトでは真の名を知ることは絶大な力を意味しており、この出来事によってイシスは神々の中でも最高位の力を得たとされています。

キリスト教への影響

現代でも、イシスの影響は続いています。幼子ホルスを抱くイシスの図像は、後のキリスト教の聖母マリアが幼いイエスを抱く図像の原型とされています。7世紀にはブリテン島にまで信仰が広がり、「天上の聖母」「星の母」「海の母」などの二つ名を得ました。

現代のイシス像について

ただし、現代のスピリチュアル系やオカルト分野でのイシス像は、19世紀半ば以降の西洋での再解釈によるもので、古代のイシスとは共通点が少ないことも注目すべき点です。古代エジプトのイシスは、より具体的で人間的な感情を持つ女神として描かれていました。

他の神々との関係

家族関係

イシスと最も深いつながりを持つのは、夫オシリスと息子ホルスです。オシリスとの愛の物語は、エジプト神話の中でも最も有名で感動的な物語として語り継がれています。この夫婦の絆は、死をも超越する永遠の愛として古代エジプト人の理想とされました。

妹ネフティスとの関係

妹ネフティスとは二人一組で扱われることが多く、頭上の象徴で見分けられます。イシスは「玉座」、ネフティスは「祠堂」を表しています。オシリスの復活においても、二人の女神が協力して成し遂げた偉業として語られています。

他の女神との習合

時代が下るとハトホル女神と習合・同一視されるようになりました。どちらも母性と愛を司る女神として、エジプト全土で崇拝されていたためです。この習合により、イシスの影響力はさらに拡大しました。

ミイラ作りの神アヌビスとの関係

ミイラ作りの神アヌビスも、オシリスの復活において重要な役割を果たし、イシスと共に最初のミイラを作ったとされています。この協力関係は、古代エジプトの死生観と復活信仰の基盤となりました。

まとめ

イシスは単なる愛の女神ではなく、困難に立ち向かう強さと、家族を守り抜く意志を持った女神でした。夫への変わらぬ愛、息子への深い母性、そして強大な魔術の力——これらすべてが組み合わさって、古代から現代まで多くの人々に愛され続ける理由となっています。

愛する者を失っても決してあきらめず、あらゆる手段を駆使して家族を守り抜く彼女の姿は、時代を超えて人々の心に響き続けています。古代エジプトの砂漠に響く愛と悲しみの調べは、現代においても私たちに勇気と希望を与え続ける永遠の物語なのです。

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出典・参考文献

  • Wikipedia「イシス」https://ja.wikipedia.org/wiki/イシス
  • Wikipedia「Isis」https://en.wikipedia.org/wiki/Isis
  • 『エジプト神話』村治笙子(筑摩書房)
  • 『古代エジプトの神々』リチャード・H・ウィルキンソン
  • 『エジプト神話事典』ゲリット・フランクフォート

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